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「ここの人はどんな人なんだろう」
「真綾さんからは夫婦って聞いてる、元警官の二人だから安心していいって」
クミは少し遠くの方を見て美久の手を引っ張り、入り口まで急ぎ足で歩いた。
段差のある玄関まで辿り着きドアノブに手を掛けると、扉が勝手に開いた。
クミはパッと手を離し後ずさる。
「あら、いらっしゃい待ってたわよ、美久ちゃん、だったわよね?」
想像していた夫婦とはまるで別人。
カエルのような顔で大きな体をした女性が出迎えた、後ろからメガネを掛けた小柄の中年男性が手招きをしている。
「私が美久で、こっちがクミです」
無表情でクミが女性を見つめた。
「長旅お疲れ様、場所が分かる心配してた所だったのよ。真綾から話は聞いてますよ。さあ上がって頂戴」
カエルのような女性は右手で扉を軽々と全開にし二人を家に入れた。
入ると左側にキッチン、長い廊下を真っ直ぐ行くと右側にトイレ、そして風呂、天井の高いロビーにソファーが二つ、その奥に大きなテレビ、ロビー左が和室になっていた。
正面奥は壁全面ガラス張りの広いベランダが見える。
「はじめまして美久です。こちらがクミ。お世話になります」
美久が改めて二人の自己紹介をすると深々と頭を下げた。
クミはハットを被ったまま軽くお辞儀をした。
「初めまして、私がバーバラ、こちらが夫の文也(ふみや)。
そしてこっちのちっちゃいのが、巧(たくみ)」
ブラジャーが肉にめり込んでいるのが目立つ。すでに赤いTシャツの胸と脇に汗を滲ませていた。
巧はテレビに夢中。
一見普通の家族、人は見た目によらないものだと改めて感じた。
「バーバラさん?外国の方ですか?」
バーバラは頷く。よく見ると鼻が異様に高く目も青かった。
もし痩せてたら美人そうな顔立ち。
「文也さんは日本の方ですか?」
文也は口を開けてぼーっと二人を見てるだけで応答しない。
「……」
「あ、ごめんごめん、純血のジャパニーズだよ」
人は見た目によらないと思ったものの、本当に大丈夫なのか?と二人は心配になる。
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