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しかし整えようとすればするほど、美久の息は荒くなった。
「もしかして興奮してるのかい?」
美久の顔を覗き込み顔を近づけてくる、その距離はどんどん縮まり、ついには唇が合わさるぐらいの距離まで。
「きゃーーーーーー!助けてクミーーーーー!」
美久は我慢出来なくなり大声で叫んだ。途端に文也は美久の首を絞めつけた。
巧は振り向かずベランダから外へ飛び出す。
バーバラはドスンドスンと音を立て風呂場へ直行、その右手には出刃包丁が鋭く怪しい光を放っていた。
「バコーン!」
クミが宙を舞い、華麗な飛び蹴りで風呂のドアをぶち破り、裸のまま飛び出て来た。
壊れ飛んだドアがバーバラを直撃、バーバラは背中から思い切り地面に倒れる。
「美久!!!」
裸のクミは思い切り拳を振り上げ、目を見開き凄まじい勢いで文也の顎を打ち抜いた。
文也は車に撥ねられたかの勢いで、和室の襖を突き破り激しく倒れる。
起き上がったバーバラが右手だけで大きな出刃包丁を軽々と振り回しクミに襲い掛かるも、クミはまるでボクシングをしてるかのようなステップで後ろに下がりながらかわす。
「ブォン――ブォン」
出刃包丁が風を斬る。
大きく振りかぶったバーバラの出刃包丁がクミの頭を捕らえた。
「ビュン」
間一髪、クミは後ろに反り込みかわした。髪の毛が出刃包丁により切断される。
それに動揺する事なく次々と襲い来る斬撃をスレスレでかわし続けるクミ。
1センチでもずれれば死亡。
美久は恐怖でその場から動けない。
頭の中は真っ白。二人の壮絶な戦いに入る隙はない。
ただ見ているだけ、何もできない。
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