第18話

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「く……クミ!!」 何も出来ない自分への苛立ちと悔しさが。美久を駆り立てた。 ソファーから一気に立ち上がりそのまま出刃包丁を振り回しているバーバラに突進。 「来ちゃ駄目!!」 危険を感じたクミが美久に飛び掛かった。 「バタン」 美久とクミはその場に倒れる。 倒れた裸のクミを覆うように美久が上から被さった。 バーバラの巨大な影と、文也が起き上がり向ってくる足音。 絶体絶命。 なぜこんな状況が起きているのかなど考えている暇はなかった。 美久は非力な自分を呪った。 目の前には髪が乱れ倒れているクミの横顔。 クミは優しい声で。 「ありがとう、美久」 と、一言つぶやいた。 クミの横顔は微笑んでいた。 自分が何も考えずに行動したせいで、こんな状況になってしまったのに、と美久は自分を責め続けた。 悔し涙が床に落ちる。 バーバラと文也の影は真後ろ。 この状況からの逆転など有り得なかった。 「ごめんなさい……」 美久が顔をくしゃくしゃにして謝ると、二人は死を覚悟した。 「バリン!!」 時がスローで流れ始める。 ガラスが激しく割れる甲高い音がロビー全体に広がった。 美久とクミは何が起こっているのか全く解らない。
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