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風呂というのは一日の汚れを落とすと共に癒される空間でもあるはずだ。
なのに周りに人が居られては、ゆっくりと寛ぐことすら出来ない。
それに涼にとって男性と風呂に入るのは屈辱だった。
戸籍上は男で身体の造りも男だけれど、心は女性だからだ。
涼には異性と風呂に入るのと、裸を見せるのと、なんらかわらないのだ。
「今日は空くの遅いですね」
シャワールームの前に出来た順番待ちで、彼のすぐ後ろに座って10分くらいたった時、彼はそう言って涼に話し掛け、溜め息をついた。
「そうですね」
と涼は言って、男と同じように溜め息をついた。
今日は…と男が言ったのは、彼と会話をするのは初めてだけれど、シャワー待ちをしている時に顔を合わせたことは何度かあって、彼もそれを覚えていたからだろう。
「今日は暑かったから汗だくで気持ち悪くて…早くさっぱりしたいですよ」
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