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「その主婦が深夜帯に入るって聞いた時に、もしやと思ったんだよね、そしたらやっぱり物欲しそうな顔してるからさー」
牧瀬は鼻の穴を膨らませて自慢気に語る。
「主婦って言ってもまだ二十代後半だから全然行けんのよ、全然綺麗だし」
年上の女性を相手にしたという優越感からか、牧瀬の顔はいやに輝いている。
「何しにバイト行ってるんだよ」
涼は苦笑しながら、自分の居場所のなさを感じていた。
こんな話を聞いてもちっとも羨ましいと思えない。
女を抱きたいと思わないのだ。
自分はおかしい。
いつか普通になるんだろうか。
「涼もさ、うちのバイト先で働かねぇ?俺から店長に話つけるからさ、結構店長に気に入られてるから俺の紹介なら…ってことで入れてくれると思うんだよな」
こいつの自信は一体どこから来ているんだ?もはや過信だな、と若干呆れつつも牧瀬のそんな部分が、自信のない涼は羨ましくもあった。
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