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ひどいどしゃぶりの夕方だった。
僕はアルバイト帰りに近くのコンビニで夕飯を買って家に戻るところだった。
みすぼらしいビニール傘では遮りきれなかった雨が、青いジーンズを刻々と深い紺色に変えていく。
僕は焼き鯖弁当を抱えるように自転車にまたがった。
コンビニから家までは2分ほどで着いた。
青い屋根に灰色の壁をした3階建て9戸の小さなアパートが僕の家だ。
家の前にはなんだか草が好き勝手生えた広い空き地が広がっていて、その奥に町の中心部がある。
自転車を停めるころにはすっかり濡れ鼠になっていたがそれでも意地のように傘を差した。
雨はやむ気配がない。
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