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「いっやぁー、やっぱりウチの学校の制服って可愛いよね。特に白のブラウスと緑のチェックのスカート!」
「……すみれ」
日曜の朝、制服姿のすみれが訪ねてきた。
清楚な小花柄のワンピースにポニーテールで如何にもな美少女を装って。
珈琲とケーキを持ってきた弟はデレデレだった。
「白のブラウスから、色とりどりのキャミソールが透けるのが溜まんないのよねぇ。しかも、巨乳の子はボタンがはち切れそうな子もいるし。ニーソとスカートの絶対領域も良いんだけどさぁ」
「で、何が言いたいの?」
聞きたい事とか一杯あるだろうに、すみれは出されたコーヒーを飲み干しながら、涼しげに笑って言った。
「私たち、付き合っている事にしたから」
そう言って笑うすみれは、静かに負のオーラを出している。愉しげに、グラスをかき混ぜながら言う。
「は?」
「葉山くんね、スポーツ推薦取り消しになったわ」
「…………」
「只の脳震盪と少し頭を切っただけよ。絢ちゃんは気にする必要は無い。でもね、大事を取って試験は取り止めにして貰った。
もちろん、先方からは後日にって言われたけど、取り消しだから断った」
「ちょっと待って! 意味が分からない……」
珈琲を飲み干すと、すみれは乱暴に口を拭き、ケーキに手を伸ばした。
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