第2話

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結局、お盆から新学期ぎりぎりまで家に帰省していた。 朝早くに荷物を寮に置きに行こうと、校門を潜った。 校庭のあちこちの隅に、テントがすぐ立つ状態で置いている。幾つかは既に部活生が涼んでいた。 1階の渡り廊下では、体育祭用の看板が立て掛けられている。9月の終わりにはすぐ学園祭がある。 スポーツより学業に力を入れている、この高校では、 一日目二日目が、学園祭。三日目が体育祭。 準備は9月からしかできない決まりだったが、 俺が帰省したせいで、気を緩ませてしまったようだ。 それが終われば3年は完全に受験にだけ集中する。 「あー!滝谷会長ー! おかえりなさい!」 慌ててペンキを後ろ手に隠した後輩二人が此方に気づいた。 「ただいま。準備は進んだの?」 「はい! プログラムデザインができました! 看板はモザイク画です!」 「……お土産、要らないみたいだね」 気が緩んだ所か、夏休みは準備禁止を頭っからわすれているみたいだ。 生徒会役員が率先して規則を破っていたとは……。 生徒会メンバーへのお土産のお菓子で、後輩を叩いていたら、 キュッ キュッ 体育館をスパイクで走る音が、聞こえた。
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