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ザクッ
ナイフで刺したケーキを持ち上げて、すみれは俺を睨んだ。
「絢ちゃん、葉山に脅されてたんでしょ。
悪いけど、壊れたパソコンのデータ回収したから」
「!!」
「言いたくないだろうからこれ以上は言わない。でも絢ちゃんが泣いてるのは同意が無かったから。
だから被害者と加害者よ。葉山は法的には犯罪者」
そう言って、ケーキを頬張った。
もぐもぐとわざと音を立て口の中身を見せながら。
「でも絢ちゃんは警察に行きたいわけじゃないだろうから、犯罪者に私が罪を下しただけ。
絢ちゃんは悪くないでしょ?」
そう言うと、豪快に切ったケーキを俺に差し出した。
仕方なく、おずおずと口を開けて食べたら、すみれは更に深い溜め息を吐いた。
「口の開け方がエロい」
「もぐっ!?」
「私は美少女が好きなんだけどなー。絢ちゃんはしょうがないわ。艶があるって言うか、なんか抱き締めたら壊れてしまいそうだもん」
そう言って、残りを平らげた。
俺は何て答えていいのやら、恥ずかしくて下を向いてしまった。
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