第2話

20/36
前へ
/38ページ
次へ
ザクッ ナイフで刺したケーキを持ち上げて、すみれは俺を睨んだ。 「絢ちゃん、葉山に脅されてたんでしょ。 悪いけど、壊れたパソコンのデータ回収したから」 「!!」 「言いたくないだろうからこれ以上は言わない。でも絢ちゃんが泣いてるのは同意が無かったから。 だから被害者と加害者よ。葉山は法的には犯罪者」 そう言って、ケーキを頬張った。 もぐもぐとわざと音を立て口の中身を見せながら。 「でも絢ちゃんは警察に行きたいわけじゃないだろうから、犯罪者に私が罪を下しただけ。 絢ちゃんは悪くないでしょ?」 そう言うと、豪快に切ったケーキを俺に差し出した。 仕方なく、おずおずと口を開けて食べたら、すみれは更に深い溜め息を吐いた。 「口の開け方がエロい」 「もぐっ!?」 「私は美少女が好きなんだけどなー。絢ちゃんはしょうがないわ。艶があるって言うか、なんか抱き締めたら壊れてしまいそうだもん」 そう言って、残りを平らげた。 俺は何て答えていいのやら、恥ずかしくて下を向いてしまった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

122人が本棚に入れています
本棚に追加