第2話

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俺の教室からは、隣の校舎の生徒会室は良く見えた。 体育館からは声も聞こえていた。 急遽、進路変更したせいで二者面談や三者面談が増え、放課後度々呼び出された。 その度に、生徒会室に目が行く。 思いは、いつも絢斗に馳せる。 最後の最後に、絢斗の人生まで滅茶苦茶に壊してしまいそうだった。 最後の最後まで、あいつを泣かせてばかりだった。 笑顔が俺に向けられるワケは無かったんだ。 「会長ー♪ 有志を連れて来ましたよー」 あぁ、思い出した。この女も生徒会の元メンバーだ。名前も知らないし、会計か書記かも知らないが。 「ありがとう。釘本さん。ごめんね、無理を頼んで」 「――?」 「いいよ。皆には内緒ね」 そうやんわり笑うのは、絢斗だけ。 生徒会室には、窓に佇む絢斗しか居なかった。 ヒラヒラと流れるカーテンの向こうに、絢斗の身体のラインが浮かぶ。 「じゃ、ばいばーい」 女はバタバタと歩き、俺と絢斗を残して消えた。 「バレたら面倒ですから、閉めて下さい」 「っ」 「はやく?」 余裕がある表情で、絢斗は言った。 俺も意図が分からず混乱するが、言われるままにドアを閉めた。
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