第2話

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「単刀直入に言うと、スポーツ推薦の話なんだが」 「あ?」 絢斗は此方を見ずに、窓の外から視線を動かさない。 だから表情からは分からない。 「学年主任じゃ迷惑かけそうだから、理事長に直接頼んでみました。次のテストで結果を出したら、もう一度チャンスをあげて欲しいと」 「なんで?」 「ちょうど調べたらスポーツ推薦がまだ受けられる大学がまだありまして」 「こっちを向けよ! 絢斗!!!」 つい大声を出してしまったが、絢斗は怯えなかった。 風に舞うカーテンを捕まえて、瞳を伏せる。 「君が俺にした事は、赦される事ではないかもしれません。でも」 キュッとカーテンを握り、悲しそうに瞳を揺らした。 「『ソレ』は俺と君の問題です。君の人生の大事な選択肢が、俺の事で減るのは嫌で。 君の可能性を奪うのが、怖くて不安で」 そう言うと、絢斗は振るえた。 繊細で美しいラインの腰が、儚くて。 今すぐ抱き締めたくなる気持ちを必死で抑えた。 あんな脅して、無理矢理組み敷いて、滅茶苦茶に奪った俺なんかの未来に、絢斗は胸を痛めてくれていた。 俺は、俺はこんなに心まで綺麗な絢斗を汚したんだ。 壊そうと、していたんだ。
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