第2話

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◆side 絢斗◆ 学祭はサボったらしいが、 体育祭の最後のリレーでは、葉山は独走だった。 風を切る、という表現が妥当かは分からないが、 同い年であんなに身体の作りが違うのは悔しい。 そう思えるぐらい、誰よりも速く、誰よりも力強く、葉山は走り抜けた。 あの身体は、もっとあんな風に皆を感動させる事に使えば良いのにって思った。 フィナーレのフォークダンスは、クラスの背の順でペアになり入場して踊る予定が、葉山を含む複数人に女子が群がり一時進行が止まった。 これは来年の会長たちの対策が必要だろう。 俺は何故かすみれにリードされながら入場して笑ってしまった。 「体操服も良いよね。皆、良いお尻してるわぁ。やっぱブルマ、復活させようかしら」 相変わらず喋るとおじさんなのがとても残念だったが。 「お前が言うと、実現しそうだから嫌だな」 そう言うと、妖しく笑った。 皆が帰った後の看板の片付けや旗を下ろす処理に、葉山が居たのは、自分から志願したんだろうな。 写真を撮りたい女子に取り囲まれる事が、俺も葉山も多かったから、片付けがあまり出来なかったのは申し訳なかった。
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