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「知らなかったら好きになったらいけねーの?
俺は、――もう言う資格は無いかもしれねーけど、お前が好きだ。知らないからこそ、全部知りたい」
そう言われたが、見上げればすぐ捕らえられそうな位置に葉山の顔が有り、怖くて退いてしまう。
意味も無く何度も押しボタンを押して、はやく青に変わることを祈る。
「俺の何が、まだお前を苦しめるんだよ!」
そう、今にも泣き出しそうな葉山を見て少しだけ胸が痛んだ。
だが、こんなにも俺に気持ちを伝えてくれているのに、俺は、逃げてばかりで良いのだろうか。
俺も、はっきり言わなければいけないんじゃないか。
そう思って恐る恐る口を開いた。
「お、俺は、多分、君を好きになれない。以前も言ったけど」
そう言われ葉山の顔は、途端に色を失い、悲しんでいるのが分かった。
「あ、頭を触っても良い?」
そう言うと、少し目線を反らして頷かれた。
葉山の頭は、既に毛が生え始めチクチクした。
あの長かった髪も、少しだけ触ってみたかった。
「こんな事にならなければ、もっと別の道があったと思う。君は、多分友達になれていたならば、頼りになって楽しくて憎めない奴になっていたと思います」
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