第2話

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しばらく歩いた後、俺の瞳から涙が溢れてきた。 最後まで分かり合うことが出来なくて、混沌とした苦い胸の痛みが込み上げてくる。 切なくて、苦しくて、哀しくて、虚しくて。 ――俺は、君を嫌いたくなかった。 振り返ろうと後ろを向こうとしたが、視界に入ったバス停に目を奪われる。 すみれがバス停に座ってまっていた。 「止めた方がいいよ。絢ちゃん」 「すみれ……」 「絢ちゃんが罪悪感を感じる必要はないよ?」 そう言うと、俺を抱き締めた。深く深く抱き締めた。 罪悪、感……。 俺にもこの気持ちの名前は分からなかった。 だけど、すみれの温もりは温かくて安心できた。 だから、もう振り向く事は無かった。ゆっくりとすみれの頬に手を伸ばす。 「なんで此処にいるの?」 「弟くんに渡す参考書を頼みたくて、ね」 そう言いつつも、手ぶらのすみれを見て笑ってしまった。すみれを家に送り届け、また一人で歩き始める。
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