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少女も仰ぐように星の踊る空を見上げる
冷たい風は囁く
まるで、誰かの言葉のように…
「私の…名前」
「セイラちゃん…?」
彼は少女の言葉を受けると、その視線を彼女へと移した
「たくさんの星を繋げて巡る…星を繋ぐ星羅、なんです…」
きっと、これは偶然であり必然
2人は出会うべくして出逢ったのだと、ドラマチックともメルヘンチックとも取れる思いを少女はその小さな胸に抱いた
「星羅、ちゃん…」
「はい…」
名前を呼ばれて、胸が高鳴る
「今日はごめんね、でも…ありがとう。ぼ…俺はここに来て良かったと思ってる。だからさ…」
「はい、何でしょうかぁ?」
「もし、嫌じゃないと感じてくれてたのなら…その、また…この場所で」
期待、していなかったわけではない
つまり、断る謂れは無い
少女は満面の笑みで頷き、それを承諾した
まるで魔法にかけられたのかと思える程、少女の心は温かいと感じていた
毎日、とはいかなくても、それでもこうしてまた次に会う約束が出来る事が、嬉しかった
だが、それと同時に不安も募る
頭の中では理解しているつもりでも、きっとまだ心の何処かで目の前の少年を信用し切れていない
当然だ
初対面なのだから
裏切られるかもしれない、忘れられるのかもしれない
それでも、彼女はその形の無い2人の小さな約束を大事に心の奥へと仕舞い込んだ
そろそろ…帰らないといけない
時間は無情にも過ぎていく
まるで、シンデレラのように
魔法にかけられた少女は、空に瞬く星にまた会える事を願った
同じように、少年もまた2人を照らし続けていた月にまた会える事を祈った
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