黄昏を遊ぶ猫

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そんな理由から優大は、どちらかと言えば犬が好きだった。 あえて加えれば、犬は飼い主に実直そうなところがある。 反対に、猫は何を考えているのかわからないし、自分勝手な印象があまり好きになれない。 「結構可愛い顔してるのよ」 有弓も、仔猫の可愛さに負けてしまったらしい。 「それより有弓、結局は自分が世話することになるぞ?それはいいのか?」 「えっ?だって2人が世話するって言ってるじゃない?」 「そんな甘いわけないだろ。前にネットのコラムで読んだんだが、ペットを飼いたがる順序は、子ども、父親、母親の順。だが実際に世話をする順序は、母親、子ども、父親。結局は、家にいる時間の長いやつが面倒を見るってことらしい」 「それでもやらせるわ。出来る限り。子ども達に。」 「まぁ、ペットの世話をさせるのは悪くないかもな。特に寛なんかは周りに甘えてるし、しっかり世話をさせれば『責任』ってものも身に付くだろうし」 「私もそれを思ってたのよ。だから、いいかなと思って」 「1匹だけいたのか?」 「そうみたい。毛色がキレイだし野良猫じゃないみたいだけど‥‥まだすごく小さいのよ?人の家の玄関に置いていくなんて、何を考えてるのかしら」 「まぁ常識は人それぞれさ。世の中には色んな人がいるよ」 その言葉を合図にしたかのように、有弓が部屋の灯りを消した。 間もなく、有弓の寝息が聞こえた。
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