24人が本棚に入れています
本棚に追加
「猫、嫌い?」
たずねられて、とっさに、
「好きだよ」
そう答えなければ、とてもこの部屋にいることは許されないだろう。
美紀との関係を続けるのも難しい。
美紀は本当にススを可愛がっていた。
あの時からか‥‥
優大は否応なしに猫好きになったらしい。
ススも不思議と優大によくなついていた。
いつしか、優大のお腹の上がススのお昼寝場所になっていたほど。
「よかった。私、昔から猫が好きで‥‥。ススはマレーシアで出来た最初の友達で、本当に大切にしているの」
「俺なんかよりも大切に思われてそうだ」
「そうよ。猫は男とはちょうど逆なの。薄情っぽい顔をしているけど、猫は裏切らないから。男は親切な顔をしてて裏切るじゃない」
「そんなもんかなぁ…」
猫の特徴まではわからないが、美紀が男について言った部分は大方よく当たっているだろう。
過去を遡れば、美紀のそんな言葉がピタリと当てはまる恋愛も1つや2つある。
美紀自身、何度か同じ苦さを味わったのだろうか‥‥。
最初のコメントを投稿しよう!