黄昏を遊ぶ猫

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「猫、嫌い?」 たずねられて、とっさに、 「好きだよ」 そう答えなければ、とてもこの部屋にいることは許されないだろう。 美紀との関係を続けるのも難しい。 美紀は本当にススを可愛がっていた。 あの時からか‥‥ 優大は否応なしに猫好きになったらしい。 ススも不思議と優大によくなついていた。 いつしか、優大のお腹の上がススのお昼寝場所になっていたほど。 「よかった。私、昔から猫が好きで‥‥。ススはマレーシアで出来た最初の友達で、本当に大切にしているの」 「俺なんかよりも大切に思われてそうだ」 「そうよ。猫は男とはちょうど逆なの。薄情っぽい顔をしているけど、猫は裏切らないから。男は親切な顔をしてて裏切るじゃない」 「そんなもんかなぁ…」 猫の特徴まではわからないが、美紀が男について言った部分は大方よく当たっているだろう。 過去を遡れば、美紀のそんな言葉がピタリと当てはまる恋愛も1つや2つある。 美紀自身、何度か同じ苦さを味わったのだろうか‥‥。
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