黄昏を遊ぶ猫

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「川上さんのとこ、お子さん、まだ小さいんでしょ?」 「確か、来年幼稚園に入るとか言ってたかなぁ‥‥。ただ、母親の体調がよくないらしい」 「あら…じゃぁ一緒には難しいわね‥‥」 子どもが就学前なら、家族揃って任地先へ移ることも容易だが、母親の面倒を看ていて、しかも病弱となればそれも難しい。 「川上さんご自身のお母様かしらね」 「多分な」 「じゃぁ、奥様はこれから大変になるわね」 「まぁな」 答えながら寝間着がわりのスウェットに着替えた。 嫁と姑に幼い子ども。 よくある形だが、世間的にやはりトラブルも少なくない。 「あっ…ねぇ、子ども達起きてなかった?」 急に有弓がベッドの上で身体を起こし、子ども部屋の様子をたずねた。 「う~ん…電気は消えてたけど。どうして?」 「まったく…パパにちゃんと相談しなさいって言っておいたのに‥‥」 「なんかあったのか?」 朝は仕度に忙しい。 休日は、昼まで寝るか、仕事先での接待がほとんどである。 どうしても夫婦の会話は眠りにつく前が多い。
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