黄昏を遊ぶ猫

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──子ども達、喜ぶだろうな── 東京都心の一戸建て。 猫の1匹ぐらい置いてやってもいい。 明日の朝、子ども達に話してやろう。 なんだか楽しみだ。 電車の中で眠ったせいか、酔いがさめてきたからか、優大のほうはなかなか眠れない。 ──俺は…猫が…嫌いかなぁ── さっきの会話を、ふと思い出した。 あの時、有弓に言われて一瞬驚いた。 確かに、猫はあまり好きではなかったかもしれない。 今は…それほどでもない。むしろ好きだろう。 自分でもそんな心の変化に、全くと言っていいほど気づいていなかった。 それを妻に突然指摘されて驚いた‥‥ いや‥‥ というわけではない。 変化の背後に、有弓を始め、家族に知られたくないことがある。 うしろめたさがある。 話題がいきなりその付近に飛び火し、いささか狼狽したらしい。
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