三木川と人形

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「ひい、ふう、みい…」 …おかしいな。一人たりない。血だらけのスーツ姿の男たちのあいだを汚れるのも構わず歩き出す。 三木川は一人一人顔を確認しながら汚れているリストをスーツから取り出した。 「金沢・・・小町・・・・大野部・・・あと一人・・・佐藤・・・か」 ぐるりと、汚い木造アパートを見渡す。トイレ・・・はいない。風呂・・・・いない。 「あーめんどくせえなあ」 刀を静かに鞘に収める。チン・・・という音と共に刀の名前である「愛刀歌」はその歌を止める。 三木川は適当に押入れなどを蹴っていく。開けるのもめんどくさい。どうせここに4人いることはわかっているのだ。 汚い寝室に入る。ヤニとタバコと・・・・あとはヤクの匂い。 「大麻か・・・」 寝室の押し入れを蹴ると、中から「ひっ」と声がした。 ビンゴ・・・ニヤリと静かに笑う。 「おっおお前は、っしっし死神・・・・・死神か!!!」 そんな震える声が中から聞こえた。 「三木川だ・・頼むから間違えないでくれ」
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