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「ったく…どこ行ったんだよ!」
白髪交じりの髪、190センチほどの高い身長、そして、深く刻まれた豊齢線…まさに中年といった感じの男は、ぼやきながらあたりを見渡している。
男は、人を探していた。
「あんまりカリカリしないでください、大事な探し物なんですから、今からそんなになってたら、本当に先が思いやられますよ」
男の部下らしき黒いロングヘアの女性が、あきれたような声で隣から声をかける。
身長は170よりも少し高く、顔だちは整っていて、細くて赤いフレームのめがねをかけている。
20代後半ぐらいに見えるその女性は、更に続けた。
「このあたりに飛んでいったことは確かみたいですし、上空を怪しげな飛行物体が飛んでいったっていう目撃情報も多数寄せられてます。早く見つけて、連れて帰りましょう。いろいろあって顔も見れてないわけですし」
「だ~か~ら~、その顔もわからないような、特徴の全くつかめてないやつを、どうやって見つけろってんだよお!」
「服装はわかってますし!魔力、妖力、呪力の観測も完ぺきです!十分特徴つかめてます!この話するの15回目ですよ!?」
「あ~はいはいわかりました!ちゃんとやりますよ…ったく、そんなんだと男にモテねえぞ?」
「余計なお世話です!それに、もう私、結婚してますから!」
女性は薬指にはめられている指輪に、愛おしそうに手をかざしている。
「はいはいそうでしたね!ったく…そんなんだったらすぐにその男だって逃げてくってんだ…」
「何か言いました?」
「いいえ、何にも、それじゃあ仕事に戻りましょ、戻りましょ」
無理やり話を終わらせると、男は仕事に戻った。
しかし、たとえ男が仕事に戻っても、手掛かりが増えるわけでもなく、ただただ探すこと20数分…
「ああ、なんも進展しねえ…なんか新しい手掛かりとかねえのかよ…」
「あ、今本部から連絡が来ました…えっと…」
「マジか!早く見せろほら!」
「今読んでます!えっと…「駅ビル屋上よりターゲットと思しき人物を確認、保護したので、早急に本部に戻るように」だそうです」
「了解、結局無駄足かよ…」
「そういうこと言わないでください、とりあえず、帰りますよ、どんな姿になったのかも気になりますし…」
「はいはいそ~ですね、帰りましょ帰りましょ」
「まじめにやってください!仕事中ですよ!」
「それじゃあ行きましょ~」
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