第1話

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「左遷だのなんだの文句いう前に、その馬鹿息子を更生させて、お偉方にわからせてやる!くらいの気を持ちなさい」 ピンチかチャンスかは貴方次第よ。 と、そんな格好いいセリフを残して親友は日常に戻っていった。 「ピンチはチャンス…ですか」 確かにピンチではあるし、戦争や内乱なんて物騒なチャンスよりは平和的でいいかもしれない。 なんて左遷の事実を無理やり飲み込む為の言い訳を繰り返す。 「…やってやろうじゃないですか!」 ちゃんと仕事するから帰ってくれと言わせるまで徹底的にダメ息子を教育してやる! 鼻息もフンッと強くはき胸を張る。しかし往来のど真ん中に1人で胸を張る女の子を不思議そうに見る市民の目に気付き逃げるようにその場を去った。 自室に帰った私はすぐに荷物を纏める。出発にはまだ3日ほどの猶予があるもののやらなければならないことは全て先に片付けるタイプだし、決意を固まる為にも真っ先にする必要があった。 「これはいらない…、それは持ったし…あー、あとあれも入れなきゃ!」 全然関係のないことですが最近の悩みは独り言が増えたことでしょうか…。 あらためて自分の独り言の多さに気付き、ダメージを受けながらも用意はすませた。 その後、明日明後日で行うお世話になった人への挨拶周りの順番等の確認も終え、夕飯、お風呂を済ませ床に入るのだった。
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