3人の兄貴と3人の弟

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「おい兄貴ぃぃーっ!!」 乱暴にドアを開けてズカズカ部屋に入り込む。 いつも散らかってる部屋が昨日の大掃除のお陰である程度マシになっていて、床に何か転がってる事も無い。 だから、いちいち足元に注意する必要もねーんだ。 大して広くもない部屋の奥にあるベッドに一際目立つデカイ膨らみを見つけて、それを力一杯引っ張り上げた! 「起きろっつーの!!」 「ぅおっ!?」 布団を剥がされた兄貴は短く驚いた後、体をブルッと震わせた。 よしっ、眠気は覚めたみてーだ。 「寒っ!! 達間、布団返せ!」 「返したらまた寝るだろーがっ! 今何時だと思ってんだよ!」 待ち合わせ時間は刻一刻と迫っている。 これから起きて準備して…ってなると、兄貴ほとんど朝飯食えねーんじゃねーの? それでも兄貴はダルそうに起き上がって、グーッと伸びたり首を鳴らしたり余裕の態度。 「あ"ー眠っ…。寒っ。」 寝起きのせいで、ただでさえ低い声が更に低くなってる。 あと、相変わらず目付き悪いぞ。…言わねーけど。 デカイあくびをしながら、のそのそ歩きだした兄貴。 おい、そんなのんびりしてて大丈夫かよ。 言っとくけど、俺は人を待たせるのは嫌いだぞ。 「なぁ達間。」 「ん? ………い"っ!?」 すれ違いざまにデコピンされた。 めちゃくちゃ痛くて………例えるなら鈍器で軽く殴られたような衝撃に、思わずしゃがみこんで悶絶。 この馬鹿力っ!! 「いってーな!! 何すんだよクソ兄貴っ!!」 「あ? そんなに痛かったか? 悪い悪い。」 涙目で抗議してるのに、大して悪びれてる様子も無い。ムカつく。 それどころかニヤリと意地悪そうに笑って『次起こすときは、も少し静かに頼むぜー。』と言い残して部屋を出ていった。 「…だったら初めから………いや、いい。」 もう既に兄貴は聞いちゃいない。 それに、少し前なら部屋に入れば問答無用で追い出されたんだ。 「『次』起こすときはって………また起こしてもらう気満々じゃねーか。」 でも少しだけ嬉しかった。 また1つ兄貴との距離が縮まったような気がしたから。 …あ! べ、別に変な意味じゃねーぞっ!?
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