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「達間…僕、カステラ好き。
…あのね、小さい頃読んだ絵本がね…カステラ作る話で、それ読んで好きになったの。」
「あぁ知ってる! でっかいフライパンで作るやつだろ? タイトルは確か…」
「「ぐりとぐら!!」」
俺たちは顔を見合わせて笑った。
立花は俺が高校に入って初めてできた友達。
とにかく話が合うし、喋ってて楽しい。
人見知りが激しくて、なかなか素直になれない俺が『素』になれる数少ない人物だ。
「俺さ、ガキの頃あのカステラ食いたくて、作ろうと思ったら小麦粉ぶちまけてさーっ!」
「えへへっ、達間おもしろいね。
僕も作ってみたいな、カステラ…。
スイカ入れたら美味しいかな?」
「ス…スイカ?」
「僕…カステラ好き。スイカも好き。だからきっと美味しいよ。」
「あー、好きなもの同士か。それなら美味いかもなっ!」
あぁ、やっぱり立花と喋るのは楽し………
「はいはいはい! そこまでー!!
達間クン! ちょっと目を離した隙に俺の可愛い愛しい癒し系天使紺たまと仲睦まじく喋ってるけど、いい気になるなよwwww
…はっ!! キミ、もしかしてまだ紺たまの事を…?!」
「ま、雅史さん?! えっと、その…」
鬼の形相で、俺と立花の間を割って入ってきた雅史さん。
当然、立花の事はもう友達としか思ってないけど、もの凄い迫力に圧倒された俺は何も言い返せねぇで困っていると、意外な人物が俺を助けてくれた。
「おいコラ雅史、年下に絡んでんじゃねぇよw」
「だってしょうがないじゃん! 紺たまがあんなに可愛い天使の微笑みを浮かべて喋ってたんだからwwww」
なんと俺を助けてくれたのは兄貴だった!
いつも俺をからかってばかりのくせに、どんな風の吹き回しだ?
何はともあれ、助かった…。
立花のこと好きだった時期があったからか、雅史さんは少しだけ俺にキツい所がある。
…本人は自覚してないだろうけど。
「お前、ほんっと大人げねぇよなw
おい達間こっち来い。雅史から離れろw」
「うぉっ!?」
半ば強引に腕を捕まれて兄貴のもとへ引き寄せられた。
だから、力強いんだっつーの! ビビるわ!
「いいか達間、今度こいつに何か言われたら俺に言えよ。制裁食らわせてやるw」
「なにそれ怖いwww
…てか、いい加減離してwww頭割れるwww痛い痛い痛いwwww」
兄貴によって頭を鷲掴みにされている雅史さんが少し気の毒だ。
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