伊井友人の憂鬱

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「おい兄貴っ!!」 「何だよ、どうした?」 何故か顔が真っ赤だ。 「これっ! 重すぎるぞ!! 何キロあんだよ!!」 あ、なるほど。 顔が赤かったのは全力で持ち上げようとしてたからか。 つーか、え? マジか? 持てねぇの? 嘘だろw 「何キロって…30キロだけど、持てねぇの?」 「さんっ…!? 持てるかぁぁぁーっ!! この筋肉馬鹿が!!」 筋肉馬鹿って…失礼なやつだなおいw そうかそうか、あんま気にしてなかったけど、これ重いのか。 まぁ確かに達間の成熟しきってない体じゃ無理っぽいな。筋肉が足りねぇw 「…なんだよ兄貴、ニヤニヤして…。馬鹿にしてんのか?」 「何でいちいち喧嘩腰なんだよw つか、お前いつまでここにいるんだよ? まだまだ掃除するとこ残ってんだろ?」 漫画の続きがきになるし、出来るならお引き取り願いたいんだがw すると達間は俺の考えを読み取ったのか、仏頂面のままフンッと鼻を鳴らした。 「そうしたいとこだけど、このままだと兄貴サボるだろ? 仕方ねーから手伝ってやるよっ!」 表情とか言い回しから、あからさまに嫌そうな態度を取ってたのでもう一度断ると、更に機嫌を悪くして『手伝ってやるっつってんだろ!』と睨まれた。 そんな嫌なら別に手伝ってくれなくてもいいんだけど、片付けが苦手な俺としては手伝ってくれたほうがありがたい。 それに何故か断ったほうが達間の機嫌が悪くなるっぽいから、ここは素直に従っとくか。 「んー、じゃあ頼むわ。」 「初めからそう言えよな!」 返事はこの通り可愛くねぇが、袖を捲ってテキパキ片付けていく姿は尊敬に値する。 達間ってこういうの得意だったのか。 そういえば、こいつの部屋は小綺麗だった気がする…。 「お前すげぇな! 本当に親父の息子で、俺の弟かよw」 「…あんたら2人がだらしねーだけだろ?」 冷めた視線が突き刺さるが何も言い返せねぇw 実際、足の踏み場が無かった部屋がみるみるうちに綺麗になっていくんだから当然だわな。 俺1人じゃ無理だったし、出来たとしても相当時間が掛かっただろう。 …床がこんなに見えるのは久し振りだな、なんて。
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