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それは唐突に舞い降りた。
茉美ちゃんが事故で亡くなってから3週間。
那秋が漸く、自分を責めるような言葉を発しなくなった。
だが、それと同時に茉美ちゃんの名前を口にしなくなった。
正直言って、見ていて以前より痛々しい。
空元気に笑って、時々空をぼーっと見て。
遊びに誘えば来るけど、那秋はあまり楽しそうにしていない。
今日は週末だから、つい日課として、車のガソリンを満タンにして、神奈川へ行こうとしていた。
それでも、ガソリンスタンドで満タンにしている間、時折嬉しそうに鼻歌を歌う那秋を俺は何も言えなかったんだ。
車に乗り込んで、エンジンをかけ直した瞬間。
まるで夢から覚めたように、那秋はハラハラと涙を流した。
だけど慰めることもできない。
大丈夫だとも言えない。
茉美ちゃん、あんたがいなくなったらコイツ、死んじゃうよ。
こんなにもボロボロだよ。
あんたはいつも、どうやって那秋を元気付けてたんだ?
友人として何もしてやれないのが…情けない。
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