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「……ごめん」
謝る言葉しか出てこない。
那秋は、怖い話が極端に苦手だ。
だけど、今回は冗談でもない。
本当に傍にいることを伝えたかった。
それも禁句ワードなのかもしれない。
きっと那秋は、“茉美は俺を恨んでる”と思い込んでるはずだ。
誤解を解きたいのに、変に言葉をつつけば、彼はきっと壊れてしまう。
このまま、何も見なかったことにできるのか、俺。
握った拳が、熱くなった。
けど、それをまるで冷やすように“誰かが”そっと撫でて、それは消えた。
本当はただ、二人に同じ気持ちでいて欲しいだけなのに…。
あの頃のように、二人は戻らない。
だから余計、悲しかった。
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