27人が本棚に入れています
本棚に追加
また週末がやってきた。
季節は秋になって、今日もまたガソリンスタンドにやってきていた。
那秋は念入りに洗車して、車内の掃除をしていた。
俺も同じように、洗車したが、明日雨なんだよなー。
それでも洗車する那秋は、相変わらずこの時ばかりは嬉しそうだった。
車に乗るのが大好きな茉美ちゃんは、那秋とドライブするのが日課で、いつも楽しみにしていた。
それは那秋も同じで、神奈川に行く前には必ずガソリンスタンドには寄って、綺麗にしていた。
自慢の車を自慢の彼女を乗せて、あてのないドライブが楽しいと、いつか那秋は言ってたな。
洗車を終えて、ガソリンを満タンにすると那秋はふと、我に返ったように寂しそうな顔をした。
「どこ行く?」
そこで気持ちを盛り上げようと、笑顔で那秋に声をかける。
「……横浜行くか」
「え?今から?」
思わず苦笑いが出た。
「なんか、横浜行きたくなった。」
那秋の瞳が少し輝いて見える。
「今から行っても夜景とかあんま綺麗じゃないぜ?12時過ぎたらほとんど消えるんだろ?前言ってたし」
悠里ちゃんたちと話しをしたあの日以来、神奈川には行ってなかった。
那秋が、辛くなる思い出ばかりの神奈川。
それほど、お前にとってあの街は幸せの証でもあったんだよな。
最初のコメントを投稿しよう!