27人が本棚に入れています
本棚に追加
だから深く考える時間を探し求めてる。
「確かにな…。今まで、お前を愛してくれる女がいて、ずっとお前を支えてくれて、どうでもいい言葉に励まされていたかもしれない人に、お前は失ってんだ。愛情を注ぐ相手を失って、やり場のない愛情が膨らむ一方なんだろ?なら注いでやれよ、変わらずに。その愛情が尽きるその日まで」
だけど、お前はもう注いでくれる相手がいないってこと、理解しろよ。
名前を呼んでも茉美ちゃんは笑って振り返らない。
うざいって思うほど抱き付いてくる細い腕はない。
行儀悪くしたら煩く叱ってくることも、喧嘩したらよく回る口もない。
寂しくなった時、そっと寄り添ってくる華奢な肩がよりかかってくることもない。
寝るときにそっと“おやすみ”を囁く可愛い声も聞こえることがない。
その優しい手で、淋しさを紛らわせてくれていた。
もう、離れないでよね。
そう言っていた彼女が、いないなんて
信じたくないから……
最初のコメントを投稿しよう!