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週末前、那秋の誕生日がきた。
茉美ちゃんの事故から2ヶ月。
那秋は相変わらずガソリンスタンドに立ち寄るけど、茉美ちゃんを忘れることは片時もないんだと、そこに愛情を感じている。
あれからまた茉美ちゃんらしい幽霊を見ることはないけど、知らないところで君は那秋を助けてるんだろうな。
さてと、誕生日オメデトウくらい茉美ちゃんの代わりに言ってやろうかな。
と、思ったが、那秋は風邪で寝込んでるという。
こりゃー悲惨な誕生日だな。
誕生日兼見舞いに、ひとっ走りで那秋宅へ転がり込んだ。
「おー、見舞いサンキュー!」
「元気じゃねーかw」
「薬が効いて、今は楽なんだよ」
それは良かった。
まぁ、あんまり心配しちゃいねーけど。
ヤローが風邪引いて何が嬉しくて看病しなきゃいけないんだか。
とりあえず、茉美ちゃんが那秋の傍にいてくれてるんじゃないかと思って来たのもあるのだが。
ほんのりと顔色の悪い那秋を寝るよう言い聞かせて、暫く様子を見ていた。
「…なぁ」
「なんだ?」
目を閉じている那秋がブツブツとつぶやく。
「……茉美のこと本当に好きだったんだよ」
突然そんなこと言う那秋に、思わず俺は噴いた。
「いや、知ってるけど」
「愛してたんだよ…死ぬほど」
「あぁ、わかってるって」
「……死んだら、あいつに逢えるのかな」
「……正気か?」
「ははっ…正気じゃねーかも…
でも、いま物凄く会いたい……欲情してる…」
「寝ろwwwスケベ野郎www」
「だから…それくらい会いたい。あいつのぬくもりが恋しいよ」
「前のセリフのせいで、すべてがいやらしく聞こえるわwwwwww」
「……やっぱり?」
ムカつく野郎だぜwww
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