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「はぁ…」
「どうしたん昴?またトラブルか?」
溜息をしながら机に突っ伏している僕に聞いてきたエセ関西弁は僕のクラスメイトの風祭悠斗(カザマツリ ユウト)だ。
「そうなんだよ…朝に指名手配犯に人質にされて、何とか僕が捕縛してから急いで走ってきたんだけど」
「待てやいきなり突っ込みどころ満載やで」
「大丈夫、何時ものことだから」
「それの返しはどうかと思うで…」
「いいから聞いて。それで校門に着いたら閉まっていて、仕方なく警備員のおじさんに入れてもらうように頼む為に学生証を見せようとしたらどっかに落としちゃって。それで何とか説得して入れてもらったんだけど…ゴリに見つかちゃって…」
「成程…生徒指導室に拉致られ反省文を書かされてたんか…」
悠斗はそう言うと納得した様に哀れみの視線を僕に向けてきた。
ゴリって言うのは僕達の間での呼び名で本名は中村涼(ナカムラ リョウ)と言って筋骨隆々、スキンヘッド、口癖は「気合だ!!」と涼とはかけ離れた熱血鬼教師だ。生徒指導のリーダーで野球部を担当している。
「昴、お前ってこれで何人目や?」
「何のこと?」
「指名手配犯逮捕や、わいの記憶が正しければ今月で10人目やで」
「違うよ13人だから」
僕がそう言うと悠斗は呆れた表情をしながら両手を後ろに組んだ
「よくそんな人数捕まえれんなぁ…」
「そうでもないよ」
1人目は自転車で坂を下っていたら偶然ブレーキが効かなくなってそのまま前を横切っていた犯人と接触…何とか止まったら犯人が気絶…それから急に感謝状って流れだし…2人目なんか喫茶店で腹痛で倒れて介抱したらそれが連続殺人犯だったり…そんな感じで今日みたいに僕が自分で倒したのって珍しいことなんだから。
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