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なんちゃって。そんな駄洒落を言ってる場合じゃねぇ。
「うううっ!」
唸るような女の声に、
「ちっ! 今夜の女は、ちっとも色っぽくねぇな」
毎回、色んな女の艶っぽい声を耳にしている船頭は、がっかりした。
「うーーーっ……」
「なんだなんだ? 鶏が首を絞められたみてぇな声を出しやがって。お陰で目が覚めちまったぜ」
船頭が愚痴を溢しているってぇと、突然、障子が開いて、
「せ、船頭!」
亀吉が呼んだ。
「へ。若旦那、どうなすったね?」
船頭が振り返ると、蒼褪めた亀吉の顔が行灯に揺らいでいた。
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