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「そうですよ。あんたに殺された船頭ですよ。……あの時、金なら幾らでもやるから女の処分を頼むと言いながら、……いや、金をやったら、後々強請られるな。そう言って海に突き落とされたあの船頭ですよ。もう一人、ご存知の方がいますよ」
「もう一人だと? ど、どこだ」
「ここですよ」
その声は背後からした。吃驚した亀吉が振り向くと、それは連れの遊女だった。
「おめぇは今日初めて会った芸者じゃねえか。舟の上にゃ、俺と船頭と死んだ女しか居なかったんだぜ」
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