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ヤスの妄想をどう聞き出したらいいのか?
『ヤス、お前、最近何か思い詰めてないか?』
『何を?』
『何をって、例えば、仕事がつらいとか、
彼女と仲良くできないとかさ。』
ヤスが深呼吸する。
何かを言いかけたように見えた。
『何にもないさ。ヒデ、お前こそ、
これからウチの会社がどうなるか、心配だろ。
俺のことを気遣ってくれるのはありがたいけど、
たぶん、クビになるかどうかのほうが、
俺たちには大きな問題だよ、きっと。』
俺のほうが見透かされているのか?
『そ、そうだよな。悪いな、余計なことを聞いて・・・』
本当は深く突っ込みたいことがあるのに、
聞くに聞けない。
いつも食事のあとは体が温まって、
暑いぐらいのはずが、
今日は、店内のクーラーが寒く感じる。
『俺、トイレ行ってくる。』
『ああ。』
ヒデのほうがトイレに行きたいぐらいだった。
用を足すのとは他に、
ヤスのことが気になりトイレに向かう。
男子トイレと女子トイレを間違えそうになった。
こんなことで取り乱している自分に苛立つ。
男子トイレの扉を開けると・・・
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