第1話

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序  何もない暗闇が怖いと思うのは人間だけだ。  仲間同士で命を奪うのは人間だけだ。  言葉を並べるのは人間だけだ。  僕らはいつも、僕たちが中心として世の中を動かしてるつもりでいる。現に政治社会自然を動かしてるんだからそれをおかしいと言うのは可笑しいんだろう。  生き物を滅ぼしたり保護したり飼い慣らしたり、そんな所業を神様がいるなら、人間観とは離れたものであれば、一体どう思うのか?  ほんとに神様がいるかどうかなんて僕には分からない。皆も多分そうだ。判明しないことが存在の証明だって言う人もいる。  もしも。  もしも神様なんて物がいて、もしかしたら遥か頭上から、もしかしたらそこら辺に見えないだけで同じ目線から、もしかしたら人に成り済ましてふとした場所から僕らを見てるとするのなら、  ただ見てるだけで何もしないのは当たり前なんだろうか。滅ぼしたり、救ったりしないんだろうか。  見えず、何もしてこないのなら、それはいないのと同じだ。そう思っている。  だけど、人生の中でこの時僕は初めて強く望んだ。願った。呪った。  神様、どうか僕を助けてください。助けてください。アンタはいつも見てるだけなのか?
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