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「一人で馬鹿笑いする暇があったら店長も手伝ってくださいよ」
「なぜ我が輩がそのような」
「あ?」
「い、いや、何でもない。そうだな、することもないし特別に手伝ってやろう」
そう言って我が輩はベンジャミンくんが持っていたエアコンを受け取る。
まったく、ポニーテールだか知らんがそんなチャラけた格好をしているからエアコン一つ持てんのだ。
「ぬぐ」
予想以上に重い。しかし、これぐらいの困難、計画の成功を思えば!
「店長、大丈夫ですか? やっぱりご老体にエアコンはキツイですよね? すみません、わたくし桜庭ベンジャミンが浅はかでした。受け取りましょう」
「へ、平気だ! 近寄るでない! これぐらい我が輩にとって――」
バキンッ、ボキンッ、ズドーン。
「あーー、店長! 大丈夫ですか! 大丈夫ですよね? うん、大丈夫そうでなによりです」
「い、いやちょっ、全然大丈夫じゃ――」
腰と足首がやられて倒れている我が輩を後目に、パートその1はエアコンを左右の手と頭上で系三つを抱えてスタスタと去っていった。
なんて薄情なヤツなんだ。
置き去りにされた我が輩は一人寂しく体を引きずって、赤十字のマークが描かれた箱を探すのだった。
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