第一章

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「四年ぶりか」 一人のスーツを着た女性が呟く スーツは男物の様に見えた。 通行人で賑わう通りから脇道に 入ると少しだけ静けさがあった 知った道らしく狭い道をズンズン 進んでいく。 やっと広い道に出た時には 喧騒は遠く聞こえなくなって いた。 「少し早かったかな」 「そうでもないよ♪」 「………飛鳥」 飛鳥「久しぶり♪ 魔王様♪」 腕時計を確認しての独り言 普通なら返事が返ってくるはず がないが返ってきた。 それに驚く事もなく名前を呼ぶ 飛鳥と呼ばれた女性は笑い ながら街路樹から降りる。 しかも地に足を付けたとたんに 男になった。 「それやめろ 誰かに見られでもしたらどう するつもりだ」 飛鳥「千穂は心配性だね♪」 千穂「違う 僕が迷惑、被るんだよ 君が捕まると芋づる式に僕が 関わった事がバレる」 飛鳥「そんなヘマしないよ それに捕まったって大丈夫♪ 脱獄するから♪」 千穂「尚、悪い」 ギロリと飛鳥を睨み付ける千穂 飛鳥は堪えた風もなく千穂の 隣を平然と歩いている。 通りには二人の姿だけがある 飛鳥は白線の上を歩き綱渡りの 真似事をしていた。 飛鳥「飛んだ方が早いんだけど そういう訳にはいかないしね」 千穂「当たり前だ 揉み消す僕の身にもなれ」 飛鳥「はいはい」 眉間にシワを寄せながら軽く ため息をつく千穂 飛鳥はクスクスと笑いながら返事を していた。 そうこうしているうちにある 屋敷の前についた。
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