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「四年ぶりか」
一人のスーツを着た女性が呟く
スーツは男物の様に見えた。
通行人で賑わう通りから脇道に
入ると少しだけ静けさがあった
知った道らしく狭い道をズンズン
進んでいく。
やっと広い道に出た時には
喧騒は遠く聞こえなくなって
いた。
「少し早かったかな」
「そうでもないよ♪」
「………飛鳥」
飛鳥「久しぶり♪
魔王様♪」
腕時計を確認しての独り言
普通なら返事が返ってくるはず
がないが返ってきた。
それに驚く事もなく名前を呼ぶ
飛鳥と呼ばれた女性は笑い
ながら街路樹から降りる。
しかも地に足を付けたとたんに
男になった。
「それやめろ
誰かに見られでもしたらどう
するつもりだ」
飛鳥「千穂は心配性だね♪」
千穂「違う
僕が迷惑、被るんだよ
君が捕まると芋づる式に僕が
関わった事がバレる」
飛鳥「そんなヘマしないよ
それに捕まったって大丈夫♪
脱獄するから♪」
千穂「尚、悪い」
ギロリと飛鳥を睨み付ける千穂
飛鳥は堪えた風もなく千穂の
隣を平然と歩いている。
通りには二人の姿だけがある
飛鳥は白線の上を歩き綱渡りの
真似事をしていた。
飛鳥「飛んだ方が早いんだけど
そういう訳にはいかないしね」
千穂「当たり前だ
揉み消す僕の身にもなれ」
飛鳥「はいはい」
眉間にシワを寄せながら軽く
ため息をつく千穂
飛鳥はクスクスと笑いながら返事を
していた。
そうこうしているうちにある
屋敷の前についた。
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