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全員が血を流し倒れており、生きてはいるが死ねない状態であることはそう言うのに慣れていない夕鳴の目にも一目瞭然だった。
当然、夕鳴と浩輔はすぐさま奥にいるはずの2人の元へ向かって走り出す。
血でぬかるんだ床は滑りやすく、魔法やその他の攻撃で傷ついた床はつまづきやすい。
だが、それに一度も足を取られることなく2人が部屋へたどり着いたのは日頃の特訓の成果か、それとも時の運なのかはわからないが、2人は揃って部屋へたどり着いていた。
そして恐る恐る開けたその先で見たものは……
目の前で無残に切り裂かれ体から夥しい程の血を流すギルドマスター(父親)と、腹部を槍で貫かれ体重の全てを突き刺さった槍のみで支えてる状態で壁に磔にされている副ギルドマスター(母親)の姿だった。
絶叫しながら目の前の惨状を作り出した人物にタックルする浩輔と、夕焼け色のした炎を狼の形に変えて突撃させる夕鳴
さすがに子供といえど予期せぬ不意打ちに襲撃者はたまらず窓ガラスを突き破りながら外へ飛び出す。
2人は深追いすることなく目の前で倒れる家族の元へ駆け寄る。
泣きじゃくりながら声をかける夕鳴と浩輔
だが、ささやかな別れの瞬間もすぐに終わりを告げた。
鳴り響く轟音、揺れる地面、覆い尽くす影
その正体を知ったギルドマスターは最後の力を振り絞って二人をギルドの外へ突き飛ばし、最期の魔法で安全地点まで逃がす。
何が起こったか一瞬わからなかった二人は着地に失敗し、身体を強打するが同時に起こったことはしっかりと目に焼きついていた。
2人の人間がギルドを挟み込むようにして立ち、魔法を使っている最初の光景
地面から現れた巨大な人型の棺桶を半分にしたような形の物が二つ現れた2番目の光景
そしてそれがギルドをサンドイッチのように挟み込み、ぺしゃんこにする瞬間の3番目の光景
この3つの光景がまるでスローモーションのように見えた。
そして同時に見えた2人の顔
一人は金の長髪に整った顔のした青年、そしてもうひとりは顔に傷がいくつもあり、悪人面と言ってもおかしくはない男性
その2人はギルドが潰れたのを確認すると合流して夕鳴と浩輔に気づくことなく立ち去っていく。
2人はそれを呆然とみることだけしかできなかった。
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