断罪のクレマシオンレイナ

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事件のあと、浩輔は行方を暗まし、夕鳴は駆けつけた『フォルテ・エスパンタリオ』のメンバーに引き取られることとなった。 そこで知ったのは事件の真実 それは 夕鳴の所属していたギルドのマスターはある事件で犯人の女性を殺していた。 もちろんそれは世間的にも規則的にも認められたことだと証明されていた。 だが、彼女に恋心を寄せていた男性は許すことができなかったらしく、理由は違えど同じようにギルドに何らかの恨みを持っていた男性と協力関係を結んでギルドを襲った。 という内容だった。 意味が分からず正気を失いかける夕鳴に『フォルテ・エスパンタリオ』のギルドマスターは告げる。 「悪か正義かといったモノサシじゃ測れないものなのよ……人間ってのはね… だから貴方がこれからも戦い続けるのなら何のために戦うか決めなさい……」 その言葉は夕鳴を救いはしなかったが、夕鳴を正気に戻し、同時に夕鳴の心に重くのしかかる重石となった。 数ヵ月後…ギルドが犯罪者が次々と闇討ちにあったかのように死体で発見される事件が多発するようになった。 共通することは3点 一つは全員殺人を犯した犯罪者であること、もう一つはとても鋭利なもので斬られた傷が原因で死亡していること、そして最後の一つは『黒いロングコート、腕に赤い布をまいている』といった“助けられた人”の共通した目撃証言である。 ギルド連盟はこれを事件と判断し、『処刑人(ディミオス)』と呼称して追うことを決定した。 もちろんその指示は『フォルテ・エスパンタリオ』にもくだり、『フォルテ・エスパンタリオ』からの担当は自ら志願した夕鳴となった。 そして夕鳴はそれを追い続け、その結果ひとりの少年と出会うこととなった。 それは数ヶ月前に行方不明となって会えずじまいの浩輔との再会だった。 だが、再会を喜ぶ夕鳴に向けて浩輔が放った一言は夕鳴を凍りつかせた。 「俺はもう…君の知っている浩輔じゃない……」 その一言より先の会話は完全に浩輔のペースで結局夕鳴は浩輔=処刑人を止めることはできなかった。 皮肉なことに、それ以降処刑人による犯罪者の闇討ちは起こることなく数年の時が過ぎていった。 (あの時…私は言えなかった………) 夕鳴は思い出しながらいつものようにそう内心で締めくくると太刀を携えて部屋をあとにした。
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