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「あーあ、高校最後の夏休みも終わりか、学校行きたくねーな」
「何言ってんだよ瞬!!俺は早く学校に行きたくてたまらなかったぞ!!」
「大地…お前ってほんと健全な高校生だよな」
俺は安井高等学校3年生の赤城大地(あかぎだいち)でこっちのやる気の無いやつが同じく3年生の大羽瞬(おおばしゅん)だ。
俺たちは共に小さな頃に両親をなくし、養護施設で育ち、ここまで何をするにも一緒に過ごしてきた。
おかげで互いのことは何でもわかるまさにあうんの呼吸ってやつだ。
「大地、お前夏休みの宿題どーした?俺には難易度高すぎて困ったんだけど」
「そんなもん決まってんだろ?俺はヒーローになって世界を救うんだよ」
「ん?ヒーローってだよ?なんかボランティアかなんかすんのか?」
「ばかやろう!!高校最後の年だぞ!?お前デ○モン見たことねーのか!?あんな風に異世界に飛ばされたりするに決まってんだろ!!」
「…気持ちわりい、くそが、真面目に聞いて損した」
「ちょw口悪すぎだろ、泣くぞ?さすがに冗談にだよ、ほれ」
俺は宿題のレポートを瞬に差し出した。
瞬は俺のレポートに目を通す。
この学校の夏休みの宿題は変わっている。
進学クラスの人たちは問題集など一般的なものなのだが、俺たち就職クラスの宿題は卒業後の進路を考えてレポートにまとめるというものだ。
そのレポートを参考に先生たちが会社から求人をもらいにいくというシステムらしい。
「…ほう、やっぱお前もYASUIに入社希望なんだな」
「そりゃあな、俺たちみたいになんの取り柄もないやつがYASUIに入れれば万々歳だよ」
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