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そんなことは、口にしないけど、どのみち言い訳にしか聞こえない。
変に冷や汗が垂れる。
「はぁ、しょうがない」
内野は、そう言うと自分が持っている体育館履きを私に投げてきた。
「サイズ、でかいだろうけど、それ履いてな」
「……え、い、いいよ」
内野にそう言われ、思わずそれを返した。
さっきまで、散々毛嫌いしていたのに、はい、ありがとうなんて言えない。
「いいから。それとも何?靴下で目立っていいんだ?」
「うっ……」
確かに、皆に笑われる。
でも。
「……いいよ。笑われたって」
「………」
私の強がりを聞いて、ため息をつく内野。
つくづく思う、今日は最悪な日だ。
「顔は、そうは言ってないけど?いいから、使えって。俺が、好きで勝手に貸してるんだし」
「………」
「使わないなら、皆の前で夕夏梨って名前で呼ぶ」
「!?つ、使います!!」
そう思わず、出た言葉。
内野は、クスクス笑っている。
ムッとしながらも、私はうつ向きながら、
「……あ、ありがとう」
小さな声でそう言った。
聞こえただろうか。
チラリと内野を見ると、電車の時のように笑っていて、
「どーいたしまして」
そう言った。
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