第0話

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外に飛び出した柚希は、頭の中でとんでもない勘違いワールドを繰り広げていた。 「馬鹿佐野! 人の気持ちも知らないで!」 大声で文句を言いながら歩く姿は、如何にも滑稽だ。町ゆく人皆が振り向きざまに笑う。「あんな奴もう知らないんだから!」 学校のことを思い出すと、余計に佐野が憎くなる。 「何なのよ!」 「あんなに女好きなら、私のことも相手しなさいよ!」 「・・・・・・いいよ。気持ち知らないのはどっちか教えてやる。」 右手が引っ張られて、後ろに転けそうになったのをそのまま後ろから、肩に手を回して、強く抱きしめられる。 「ひゃっ!」 思わず、素っ頓狂な声を出す。 クスリと笑うと、 「我慢してたのに、馬鹿だよな。」 そう言った。 心臓がうるさくて、聞いてなかった。 「覚悟しろよ?自覚がないおまえが悪い。 容赦ないから。」 「意味わかんないし。」 「イヤでもわかるようになる。」 「どういう・・・・・」顎に回った手に後ろを向かされて、柔らかなものが優しく触れた。 「っ?!」 「ゴチソウサマ。」 意地悪に舌を出した。 みるみるうちに顔が赤くなる。 「茹で蛸みたい。」 ふっと笑う。 「は、放して・・・・・・。」 か細い声はスルーされて、佐野の腕は腰に回る。 耳元で囁かれる。 「俺さぁ、お前のせいでサボっちゃってさぁ。責任とれる?」 「えっ?」 「このまましばらくいるか、なんならホテルで、これ以上のことをやる?」
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