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外に飛び出した柚希は、頭の中でとんでもない勘違いワールドを繰り広げていた。
「馬鹿佐野!
人の気持ちも知らないで!」
大声で文句を言いながら歩く姿は、如何にも滑稽だ。町ゆく人皆が振り向きざまに笑う。「あんな奴もう知らないんだから!」
学校のことを思い出すと、余計に佐野が憎くなる。
「何なのよ!」
「あんなに女好きなら、私のことも相手しなさいよ!」
「・・・・・・いいよ。気持ち知らないのはどっちか教えてやる。」
右手が引っ張られて、後ろに転けそうになったのをそのまま後ろから、肩に手を回して、強く抱きしめられる。
「ひゃっ!」
思わず、素っ頓狂な声を出す。
クスリと笑うと、
「我慢してたのに、馬鹿だよな。」
そう言った。
心臓がうるさくて、聞いてなかった。
「覚悟しろよ?自覚がないおまえが悪い。
容赦ないから。」
「意味わかんないし。」
「イヤでもわかるようになる。」
「どういう・・・・・」顎に回った手に後ろを向かされて、柔らかなものが優しく触れた。
「っ?!」
「ゴチソウサマ。」
意地悪に舌を出した。
みるみるうちに顔が赤くなる。
「茹で蛸みたい。」
ふっと笑う。
「は、放して・・・・・・。」
か細い声はスルーされて、佐野の腕は腰に回る。
耳元で囁かれる。
「俺さぁ、お前のせいでサボっちゃってさぁ。責任とれる?」
「えっ?」
「このまましばらくいるか、なんならホテルで、これ以上のことをやる?」
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