第0話

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「そこでうんって言うなよ!」 「だって、その通りだし。」 「襲うよ?」 佐野の手が顎を掴んで、数ミリのところまで顔が近づく。 急いで顔を背ける。 「?」 「今、私、すごくいやな顔してる。 だから、見ないで」 「柚希?いいから、顔見せて? 頼むから。俺が悪いなら、謝るから。」 「違うの。」 「えっ?」 私の顔を見て、 佐野は困った顔をする。 「俺のこと、誘ってる?」 首を左右に振る。 「キスが足りない?」 返事をしない。顔を赤くして俯く。 「裏、行こうか?」 大通りから、裏手に入ると、人気は全くない。 「どうする?」 「柚希?」 「私・・・・・・。」 「ん?」 「私、 ファーストキスだったのに!」 「は?」 「もっとロマンチックなのが良かったのに!」「っだよそれ。 今から、やり直すか?」 「あっいや。」 柚希は違うことを言おうとしていたが,思ってもいない言葉を発した。
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