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「もう」
そう言うと、佐野は柚希の腕を引っ張り、どこかに向かいだした。
「ちょっと、どこ行くの?」
「ロマンチックなのが良かったんだろ?
叶えてやるよ。」
二人がたどり着いたのは、無人駅。
「隣町まで行く。」
「なんで?」
「海、行こうぜ?」
「海?」
「そう。」
二人は、来た電車に乗り込んだ。
「「次は〇〇〇駅、
〇〇〇駅。」」
アナウンスが流れる。
「前に、来たから、見せてやりたかったんだよな。お前、海好きだから。」
駅からでると、ふわりと潮の香りがした。
「すぐ近くなんだ。」
脇道があって、少し大きな階段がある。
降りていくと、海があった。砂浜は、きれいな白色。
「懐かしい感じ。」
「何が?」
「昔から知ってるみたいな感じ。」
「分からないけど、おまえが生まれた病院がここに近いらしい。
赤ちゃんの時のことで、わからないんだと思うけど、来たことがあってもおかしくない。」
「そうなの?」
「忘れる訳ないだろ?」
「なんで?」
「俺とお前が初めてあった場所が病院だから。」
二人は、向かい合い、笑った。
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