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今、我が国は危機に瀕しています。
何故ならば、魔族に攻められて民が連れ去られる、もしくは殺されているからです。女は慰み物として連れていかれ、男はその場で惨殺されています。
このままでは民の不安が広がり、国が安定しなくなってしまうでしょう。私は滅びゆく運命を少しでも変えたいのです。
現在は魔族による侵攻はありませんが、いつ何時攻めてくるか分かりません。だから…………私は決意しました。
この国に伝わる勇者召喚を行うと。
ほとんどメリットばかりの勇者召喚ですが、勇者召喚には少なからずデメリットがあります。
1つ、勇者を異世界から喚び出すため、元の世界へと帰す手段が一切無い。
2つ、この勇者召喚で喚び出した者は、必ず『中立の立場で物事を見れる』という特徴を持つらしい。だから私達側に味方するか魔族に味方するかは分からない。これは大きなデメリットです。
3つ、喚び出した王女……つまり私はその勇者の言葉に逆らってはいけない。というか、勇者召喚をする魔方陣にそういう魔術が掛けられている。だから……夜伽を求められようと……断ることは叶わない。死ねと言われたならば死ななければなりません。私個人なら、これが一番のデメリットでしょう。
「ドリアナ様……そろそろです」
魔方陣の前で震えていた私に声を掛けたのは、私の専属の騎士であるサージェ(♀)。強くて綺麗な自慢の騎士だ。
ついでに言うと、ここは城の地下室。ここには私とサージェしか居ない。勇者召喚でもし乱暴な事をする方が出てきたら此処で閉じ込める魔方陣を起動するつもりなのです。
「…………分かりました、では」
私は目を閉じて魔方陣に魔力を流しながら祈る。
どうか、まともな方が────
出てきたのはキスをしている二人でした。
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