16869人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は掲げた右手をそのまま垂直に降り下ろした。すると、
ズガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!
世界が割れた。比喩ではなくそのままの意味で世界が割れてしまった。
俺がした行為は至極簡単。身体能力のリミッターを解除して、手を降り下ろしただけ。
攻撃の意思さえ、ましてや力など一切入れずに手を降り下ろしただけなんだ。ただそれだけで世界を割る威力。
俺が攻撃の意思を入れたら…………まぁ、隣り合う世界も突き抜けて何個かの世界が割れてたかもな。
本気出せば身体能力で…………どんだけ世界を壊せるんだろな? 試したいけど試せないからな…………まぁ、ほとんどの世界は一瞬で消滅できると思う。
「……はぁ、流石奴隷世界だな……」
俺はいきなり世界が割れて驚き喚く人々の方を見て呟く。
世界が割れると、それを元に戻すための修正力がはたらく。
空間が割れるくらいならば、ただ空間がひとりでに閉じるだけで別に修正力とかがはたらく訳ではない。
しかし、世界が割れた場合は話が違う。
世界が割れた場合は、辺りのものを吸い込んでそれを世界に補填することにより、その割れ目を修正する。今まさにそれが起こっていたのだが……。
主人が奴隷を身代わりにして助かっていた。そしてそんな主人を生まれ変わってでも殺してやる、と言い残して世界の修正へ補填されていった奴隷。
もうこんな光景が何千・何万も見えていたら、呆れを通り越してもう溜め息しか出なかった。
「…………二度とこんな世界を創らせないようにしないとな」
俺はそんなことを呟いて空間の境を弄って境目を開く。そしてそのままその中に入り込んでこの世界から去った。
「───『林檎雨』」
その後、世界にリンゴが降り注いで世界が無に帰したという…………。
最初のコメントを投稿しよう!