オタクに人権は無いんですか!?

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「……………………」 この、何も出来ないまま床に這いつくばる雑魚だな。 俺はこの雑魚の言語の使用を許可してやる。 「おい、雑魚、役立たず、最高神のくせに何も出来ない馬鹿野郎。どういう気分だ?」 「最悪…………だな。ほら、殺せよ。もう俺には生きる価値さえ残ってやしないんだろ?」 雑魚はそう呟く。 本当は涙を流したり、表情を歪めて泣きたい気分らしいが、俺は表情を表に出したり、涙を流すなんていう行動の許可を出してないからな。 「生きる価値ね…………それを奪っていたのはお前らなんだぜ?」 「………………」 雑魚は黙る。俺はそんな雑魚を一瞥したあとに話を続ける。 「奴隷っていうのは、大体の意味だがその人の全ての権利を所有者へと渡す身分のこと。奴隷に決して人権なんてもんは存在せず、生きる価値や意味さえも主人へと渡す身分。お前もよく理解してるだろ?」 未だに黙っているので、俺は胡座をかいて座ったあとにまだ話を続ける。 「どんな異世界に行こうとも、俺は奴隷という者を見てきた。剣と魔法の世界、『キルティア』でも。頭脳の世界、『ヴェロチア』でも、もちろんあの奴隷の世界、『スパルタクス』でも。ヴェロチアの中の地球なんて惑星はどうだ? 全員大した力の差もないくせに奴隷なんて身分差がある。それは何故か? 簡単な事だ……」 俺は一息ついた後に言葉を紡ぐ。 「人に心があるかぎり奴隷なんて消えないんだ。相手を服従させたいと思う心、自分が楽をしたいと思う心、労働力があるならば無理してでも働かせて金を稼ごうとする向上心も然り、あらゆる心が存在する限り全ての生命から奴隷なんて消えやしない」 俺が語っているのは地球の現代でも問題になっていること。それをかなりスケールを大きくして話しているだけ。 「奴隷を完全に消す方法は簡単、生命からから心を消せばいい。思考を無くせばいい。俺なら出来るがしない…………何でだか分かるよな?」 俺が雑魚にそう問い掛けると、少し間を空けたあとに言葉を発した。 「その、向上心とやらが損失するからか?」 「んまぁ……そんなもんだな。人が進化しなくなるからが正解だったけど、仮正解にしといてやるか」 てか、何で俺こんな事を語っているんだろう。今から浄化される運命のコイツに用なんて一切ないのにな……。
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