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そして、風帝の魔力が最大まで高まり、魔法を放つための詠唱に入る。
「荒らす嵐が有り、荒らさぬ嵐が在り、
それを────」
「えーと、実技満点な、お前。よし、最後はセイアとエリーだな」
「「…………パパ(父様)……」」
そんな呆れた目線で見なくても良いのにな。ただ、魔法を放つという行動を不許可にして、手刀で風帝を気絶させただけなのに…………。
「……まぁ、お前らの実力は分かってるんだけどな。二人とも最近訓練とか怠ってるから、実技の点数は満点の1つ下にしておくぞ。反論は認めない」
二人は図星を突かれたかのように苦虫を噛み潰したかのような顔になってうつむいた。
二人とも自分の強さに驕りすぎて訓練とかしていない。もうかれこれ数週間はしていないらしいからな。
俺は皆が目覚めるのを待つために風帝をお姫様だっこして端へと移動する。そして、ローブのフードを外して顔を……いや、頭を見る。
そこにはピョコンと存在している耳があった。そして顔は端正な顔付きをしており、目は少しきつめに尖っているが、おさげにしてある髪の毛が大人しさを醸し出していた。
おさげ美少女の猫耳ktkr。
いやー、記憶から獣人てことは知ってたんだけどな、猫耳を実際に色んな角度から拝みたいなーと思っちゃって。
「…………んっ」
「おっ、ごめんごめん」
少しだけ耳に触れると、端正な顔を歪ませて嫌そうにしたので、俺は耳を触るのを諦めて頭を撫でる。
すると端正な顔が綻び、まるで猫のように気持ち良さそうに目を細める。
何これ。ペットに欲しいや。
「うにゅぅ…………パパぁ……」
そう言って、寝ながらも俺に抱きついてくる風帝。どうやら夢で死んだはずの自分の父が出てきて、それで俺に抱きついているようだ。
しかし俺は前みたいにドキマギしない。フーレスがもうこれ以上に無いくらいの女への耐性を作ってくれたからだ。
「お前のパパにはなれないけど……パパ代わりになってやる……」
俺はそう言いながら、抱き着く風帝……ヒリエ・フィールの頭を撫でてやる。
お前の父さんフィル・フィールだもんな…………読者の知らない所で死んでどうすんだよ、アイツは。しかも美人の獣人の奥さんとの間にこんな可愛い獣人と人間のハーフを作りやがって……罪な男だったな。
あまり記憶に残ってないけど。
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