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死んだ理由は…………餅を喉に詰まらせて死んだらしい。地味すぎて笑えない。
それが約5年前で、その2年後にヒリエが風帝に就任したらしい。あとはテンプレで学園に正体を隠して通ってるだけ。
吊り目おさげ猫耳はテンプレではないが。
「…………うぅ……羨ましいなぁ」
「同じ気分じゃが、父様を失望させないようにしっかり特訓するのじゃ。早速魔力コントロールの練習じゃ」
セイアとエリーは気絶しているヒリエを羨ましく見つめながらも特訓を開始し出した。俺はヒリエを撫でながらその光景を見つめる。
魔力コントロールの練習…………定番では魔力を球体にするのだが、俺が編み出した新たな練習方法は、魔力を完全な立方体にするということだ。角もしっかりと尖らせた立方体に……な。
魔力は謂わば粘土のようなもの。造形するのには神経を摩耗するが、慣れてしまえばどうということはない。
しかし、粘土で球体を造るのと、立方体を造るのはどちらが難しいか考えてみてほしい。球体の方が明らかに作りやすくはないだろうか?
だから俺は球体よりも立方体を造る修行を周りの皆に勧めた。評判は今のところ物凄く良い。
球体を一万ほど造れるはずのセイアでさえ、立方体を数個ほどしか生み出せていない。他にも立方体らしきものが浮いているが、角が丸くてとても方形とは言いがたい。
エリーは流石元魔王というべきか、数百個は生み出せていた。それでもまだまだ少ないと捉えるのが俺だが。
俺は何個生み出せるって?
正直分からない。
今現在も増え続ける輪廻転生していく全ての者の魔力コントロール+【境】としてのスペック+元々の俺のスペックがあるのだ。間違いなくこの世界全部は立方体で覆い尽くせるのだが……そこまでしか分からない。
いつか新世界で試してみよう。あそこは距離がない世界だしな。無限の空間が広がってるし。
そんなことを考えながらヒリエを撫で続けること一時間程、1時間目の終了を告げるチャイムの音が聞こえた。
しかし、反応するものが一人もいない。
セイアとエリーは訓練に夢中になってるし、その二人以外は例外なく気絶している。
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