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「てか、もう帰れよ。俺はお前の要望に応えられないからな」
「な、何のことよ! べ、別に要望なんて……」
「もし出来たら、絶対神に会わせて欲しかったんだろ? 無理無理、アイツ魂の欠片も残ってないしな」
俺はユウが思っていたことをズバズバと言い当ててやる。そもそも記憶さえ得てるのに頼みたいことが分からない筈がない。
「そ、それってどういう…………」
「そのまま意味だ。矛盾の権能と同じように、全てを反発されて消え去った。存在も魂も……概念さえもな」
「そ、そうだったの……ま、まぁ! アイツが消えて清々したけど!」
…………目に溜まる涙が無ければ誤魔化せたろうにな。ホントに嘘を吐くのが下手な奴だな……。
「今は俺が絶対神の代わりをやっている。まぁ、『権利』や『絶対』を司ってる訳じゃなくて、それそのものだけどな」
「…………」
もう話も聞けない状態か。泣くのを堪えるのに必死すぎて笑けてくるな。そんなこと言えもしないけれども。
体育座りしてうつむくユウと気絶しているヒリエを撫でる俺を訝しげに見つめるSクラスを睨んでいると……。
「ん……んぅ…………」
「おっ、やっと起きたか。お前の猫耳触っていいか?」
ヒリエが目が覚めた。
しかし、全く状況を掴めないようで、自分の頭に乗っている俺の手と、俺の顔、そして抱きついている俺の体を順番に見る。だがまだ状況が分からないようだ。
まず、俺から離れた。離れたといっても抱き着くのをやめて胡座をかく俺の脚の上に座っただけ。だから俺は撫で続けている。
「…………はふぅ、気持ちいい……って!? 何で私撫でられてるの!?」
「おっ、やっと状況が掴めたか。まあまあ、落ち着け」
「いやいや! 落ち着ける状況じゃないと思うんだけどー!?」
ツッコミが達者なことで。
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